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(ガク)
髪型をかえる カミサンが美容室にいって髪型を変えてきた。といっても僕はそう言われるまで全然気づかなかったのだけど、これは毎度のことなのでカミサンもあきらめているらしく、そう目くじらは立てない。 「髪型や容姿などの外見に捕らわれずに、物事の本質を見極めようと常日頃から心がけているのだ」 と豪語しているのだが、フッと鼻先で笑われるだけで我ながら説得力に欠ける。 どうも、僕は昔から髪型や服装に関する記憶装置のどこかが欠落しているようで、この手の話題は苦手だった。 今は昔、若かりし頃、会社の同僚(男)が女子社員の服装について、 「昨日と同じ服だぜ」とスケベ心満載の野卑な発言をしていたのを何度か耳にしたことがあるけれど、その時も彼女が外泊したことよりも、何故この男はそんなところに気がつくのだろうと不思議に思ったものだ。 昨日の服装を覚えているどころか、今日の服装ですら覚えているかあやしい。 たとえば喫茶店で女の子とおしゃべりをしている時に、後ろから目隠しをされて、 「さて、ここで問題です。今、目の前にいる彼女は何色の服を着ているでしょう?」 と尋ねられても、だぶん僕は答えられない。 それどころか、目隠しをされると今自分がどんな柄のネクタイをしているのか問われても答えに窮してしまうのだ。 そんな人間に昨日の髪型や服装を覚えておけということが、どだい無理な話なのだと最近では開き直ることにしている。 でも、僕のこの性質は二人の息子には遺伝していないらしく、ケイタやガクは母親の髪型の変化がすぐにわかるようだ。 この日も幼稚園や学校から帰えってくるとに二人ともすぐに母親の髪型気がついたらしい。 小学4年生のケイタはもうすでにテレもあって母親を褒めたりしないのだが、幼稚園児のガクは普段から母親に対して、 「ママ、かわいいー」を口癖のように言っている。(言わせているのかもしれないが)だから、この時もホメコメントを期待して母親が「どう?」と尋ねた。 その場には僕はいなかったのでこれは後からカミサンに聞いた話だけど、 ガクは母親の髪をチラ見すると、 「その髪型は、セクシーじゃない」 と答えたという。 セクシーじゃない! 的を得た鋭い発言ではあるが、セクシーなんて言葉は幼稚園児の語彙ではない。 どこでこんな言葉を覚えたのだろう。不思議に思ってガクに聞いてみると、自分の好きな車のゲームの冊子を持ってきた。クレイジータクシーのキャラクター紹介に『クールアンドセクシー』と書いてある。 このキャラである。 ![]() こんなキャラに比べられても、カミサンも困るだろう。 でも、これからはカミサンが美容室にいってきたら、僕も、 「その髪型は、セクシーじゃない」 と答えるようにしようと思う。
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