(ケイタ)
手のひらにマジックでメモ書きする子ども
ケイタは時々、手のひらにマジックで何かを書いて学校から帰ってくる。忘れ物をしないために小学生男子がよくやっている手のひらメモだ。
忘れ物をしないための連絡帳をケイタもガクも一冊ずつ持っている。毎日明日必要な学習道具や父兄への連絡など書き込む専用のノートなのだが、ケイタはそんなノートよりも手のひらの方が安心できるようだ。
先日も手のひらを真っ黒にしているので、のぞいてみると、やはり明日もっていかなければならないものを書き込んでいた。
「連絡帳があるだろ?」
と尋ねてみるとケイタは、
「その連絡帳を見ることを忘れないように、ここに書いているんだ」
と答えた。なるほど、どんなに明確にメモ書きしても、それを見るのを忘れては意味がない。
TVゲームやネット動画など、僕の子ども時代にはなかったものがあふれていて、それを当然のように今の子どもたちは使いこなして遊んでいる。
だけど、昔とちっとも変わっていない、小学生男子のバカさ加減を目の当たりにすると何だか嬉しくなってしまった。