(ケイタ)
家庭訪問
先日ケイタの担任の先生による家庭訪問があった。母親の報告だとケイタは学校ではとてもいい子でていねいな言葉遣いをしているという。
先生も(女の先生である)「ケイタくんと話すとほっとするんですよ」 と言っていたという。
二年生になってクラス替えもあり担任も代わったが、一年の時の担任の女の先生からも「子供らしい子どもですね」 と言われたことがある。
なるほど学校の先生もいろいろ大変そうだから、ケイタのように手のひらに乗ってきてくれる(せんせい、せんせいと懐いてくれる)児童は貴重なのだろう。たぶんケイタは未だ幼いところがあって、学校の先生に対して、幼稚園の先生に対するような気持ちを持ち続けているようなのだ。
先生に対してはそんな馬鹿ていねいな敬語を使っているくせに、家の中では乱暴な言動が目立つ。そのたびに叱られているけれど、たぶん家族には甘えているのだろう。
先日、ケイタは所用で浅草に行ってきた祖母から刀のおもちゃをお土産にもらった。この小学二年生はなかなかの刀剣マニアで、刀のおもちゃをたくさん持っているのだ。そのほとんどはプラスチックの幼いオモチャなのだが、この時祖母からもらった刀は、少し重く重厚な刀のような銀色に輝いていたものだから、大喜びで遊び始めた。
僕はその場にはいなかったので、母親からの又聞きだが、刀を母親に突き出してケイタがこう言ったという。
「カネ、ダシナ」
もちろんケイタ特有の冗談なのだけど、折りしもその日は「母の日」だった。
普通なら「お母さんありがとう!」という日なのに、「金、ダシナ」とは…
「母の日は…終わったな…」 とカミサンが言っていた。