(ケイタ)
あとかたづけができない子ども
ケイタがおもちゃを部屋中に散らかして遊んでいる。
トミカの街をつくっているらしく、部屋中にプラレールやミニカーが散らばっていて、うっかり歩くと足の裏に激痛が走ることもよくある。特に赤ん坊のガクを寝かしつけようと抱っこしながらあやしていると、真下がよく見えないのでこの不意打ちをよく食らってしまうのだ。
散らかすだけ散らかしておいて、いざ片付けるように言うと、ケイタは急に力を失ったようになって、
「かたづけられないようぅー」と言い出す。
「自分で出したのだから、自分でかたずけなッ!」
「ひとりじゃかたづけられない…」とケイタが甘えて言う。おもちゃを出す時には一人で元気いっぱいだったのがウソのようだ。
ミニカーはかごの中にまとめて入れてあるのだが、ケイタはその中からたった一台の車を探し出すために、勢いよくそれをひっくり返すのだ。たとえばTVで出ていたり雑誌に載っていたりした同じ車種の車を探し出したいがためにカゴごとひっくり返し、後は知らん顔をしている。
自分でかたづけられないなら、おもちゃ全部捨てちゃうよというと、
「ケイタは散らかすのが仕事なんだ!」
と言い出した。
「そうかぁー、仕事だったのかぁ、それじゃあしょうがないな…って言うわけないだろ。かたずける方に転職しろッ!」
と言うものの、たいがいこの手の会話が交わされるのは、夜、ケイタも眠くなってきた時間帯なので聞き分けが悪い。
結局かたずけるのは僕やカミサンなのだ。