はい、わっかりましたぁー
渓太の口癖のひとつに、いたずらをして叱られた時に、
「はいっ、わっかりましたぁああー」というのがある。
何か叱ったり注意すると、すかさず大きな声でそう言う。返事は100点満点なのだけれども、この「はい、わかりました」ほど信用が置けないものは無い。
そう言いながら同じイタズラを何度も何度もくり返すのだ。何にもわかっていなくて、ただ言葉だけでそう答えているらしい。
スーパーマーケットなどでちょっと手を放すと渓太は、
「ダバダバ、ダバダァァー」とわけの分からない言葉を叫びながら、駆け出して行ってしまう。
「ケイタぁー、走っちゃダメッ!」
「はい、わっかりましたぁー」
と言いながら走っていってしまう息子…
毎回、まわりの失笑を買っているスパーマーケットの追いかけっこだ。
おしっこをパンツの中にしてしまった時も、
「おしっこしたくなったら、ちゃんと教えるんだよ」
「はいっ、わッかりましたぁー」と言っているそばから、すぐにお漏らしをしてしまう。
この「はい、わっかりましたぁー」という明るく元気のいい返事をするときもあれば、ちょっと違った言い方をするときがある。
自分の気に入らないことを言われると、
「はい、わかりましたよぉー」と語尾を上げて憎々しげに言ったりするのだ。
おもちゃの片付けなど少しでも気に入らない事を言われると、あからさまにこのふてくされバージョンを使う。
「けいたぁー、おもちゃ片付けな!」
「はい、わかりましたよぉー」
3歳にもならないくせに、嫌味な偏屈ジジイのような口調でそう言う。
しかもこのフテくされバージョンも口先だけで言っているだけで、少しも片付けようとはしないのだ。
このぉ~。