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渓太が生まれた日
渓太が生まれた日  



もう4年前のことだ。

だけど、僕は渓太が産まれた日のことをはっきりと覚えている。
夜仕事から帰ってくると、家内の陣痛が始まった。初めてのことだったので、少しあわてて、産院に電話をかけてて相談する。夜の11時過ぎに病院に連れて行き、そのまま入院、産まれてくるのは明け方のころだという話だった。

僕は待合室で待っていた。することがないので、とりあえず自分の写真を撮った。
『不安な表情で妻の出産を待つ夫の横顔』というタイトルの写真をセルフタイマーで撮ったりしていた。
(後にカミサンはこの写真を見て、自分が陣痛で苦しんでいるときに・・・と怒っていたが)

明け方、飼っているイヌの散歩とエサやりのために家に戻った。せわしない散歩から帰ってくると、付き添っていた義母からの電話で渓太が産まれたのを知った。

それからはさすがの僕も舞い上がってしまって、「落ち着け、落ち着け」と自分に言い聞かせるようにして産院に向かった。車だとほんの数分なのだが、その道のりがやけに長く感じられて、「事故らないように・・・落ち着け、落ち着け」とつぶやいていた。

保育器の中で、産まれたばかりの「渓太」が手足をばたばたとさせて暴れていた。ガッツ石松のような、なんだか腫れぼったい眼をしている。おなかの中にいたときもよく動く胎児だったけれど外に出ても変わらないようだった。(それは今でも変わらない)

お昼過ぎに会社に行く途中の電車の中から富士山が見えた。その日は雲ひとつない晴天だったので、いつもより富士山がくっきりと大きく見えていた。
産まれたばかりの赤ん坊のことを考えながら、
「僕はこの日の富士山を一生わすれないだろうな」と思った。

地に足が着かないような「ふわふわ」とした気持ちはその日一日中続いていた。
必要な最小限の仕事だけを済ませて、大急ぎで家に戻った。最寄り駅の反対側にある産院に駆けつける。この産院では産まれた次の日から母親のベッドの横に赤ん坊が連れてこられるのだ。退院するまで母親は赤ん坊の世話をしながら過ごすことになっている。

笑ってしまうのは、渓太の母親(カミサンのことですが)もこの同じ産院で産まれているのだ。しかも取り上げた先生も同じ、もうおじいちゃんの先生になっているけれど・・・


その日から約一週間の入院で渓太と母親は退院してきた。
入院中も、僕は仕事で面会時間をとっくに過ぎた12時ごろにならないと帰ってこれなかった。それでもだいぶ回り道になったけれど、産院によって2階の病室の窓を見上げてから家に帰るようにしていたのだ。
家内が入院していた部屋の常夜灯のあかりなのだろう。薄暗い明かりか窓の中にかすかに見える。
「あの窓の中に、産まれたばかりの赤ん坊がいる」
と思うだけでなんだかうれしく思えたのだ。


もう、あれから4年、あの時力ない小さな声で泣いていた赤ん坊も幼稚園に行くようになった。その渓太の弟が今産まれようとしている。

『豚児2号』の誕生だ。
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by tonjies | 2003-09-29 02:33 | 豚児1号 ケイタ
寝 言 
寝 言  

夢見る子ども




渓太は寝ながら、はっきりとした言葉で寝言を言うらしい。僕はいったん寝てしまうと滅多に起きないのでこれはカミさんから聞いた話なのだが、楽しそうに笑っていたり、「らんぼるギーニ!」などと車の車種を叫んだり、とてもにぎやかに寝ているみたいだ。

先日も大きな声の寝言で、

「そーなすぅー」(ポケモンの一種の叫び声)と言っていた。

最近渓太はアニメのポケモンに夢中でそのビデオばかりを見ている。
ピカチュウのぬいぐるみを抱きながら、そのビデオを見ている渓太の様子もとてもおかしい。
画面のポケモンと一緒に転んだり飛び跳ねたりして、それこそ全身を使ってその映像を追体験しているようなのだ。
どうやら渓太は自分もポケットモンスターになりたいと真剣に考えているらしい。
だから寝言でもその中のセリフをはっきりと言ったりしている。

「敵とはいえ、仲間だニャー・・・」

ピカチュウ以外にも、まだ産まれていない弟(来月出産予定)の夢でもみていたのか、

「ママァー、○○ちゃん、起きたよォー」と大きな声で言っていた。


実を言うとこれも父親似らしく、自分では気がついていないのだが僕も夜中に大きな声で寝言をいっているらしいのだ。
まるで普通に喋っているみたいに寝言をいうと家内に笑われている。

普段毎日考えている文学や哲学や、はたまた国際情勢のことでも喋っているのだろうと僕は思っているのだが、
この前は大きな声で

「そいつはぁーたいへんだぁー」

と能天気に笑いながら言っていたという。

おかしい・・・
それ以外にも難解な哲学用語などを喋っているはずなのだが、おそらく家内には聞き取れなかったのだろう。
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by tonjies | 2003-09-18 02:32 | 豚児1号 ケイタ
最近の渓太語録から  
最近の渓太語録から  


1.幼稚園で

長かった夏休みもようやく終わって、また渓太は幼稚園に行くようになった。9月になって初めての日に母親が送っていくと、渓太のクラス(ひよこ組)の子どもたちも久しぶりなので嫌がって泣いている子も半分ほどいた。
渓太も出かける前は『いきたくない』と家の中で少しぐずっていたらしい。

でも、幼稚園に着くと平気な顔で幼稚園の中に走っていった。玄関先にいた幼稚園の先生方に向かって、おっさんのような口調で叫んだ。

「おう、ひさしぶりだなぁー」
本当にまるでおっさんのような口調で叫んだという。

幼稚園の先生方にはひどく受けていたけれど、その言い方といいデカイ態度をいい、とても3歳児とは思えない。
もっと可愛く、言えないものかと母親は嘆いていた。



2.死んだマネ

この前渓太と戦っていた時のこと、あまりに痛い渓太の蹴りが入ったので僕はそのまま倒れて死んだマネをしていた。
うつ伏せになって動かないでいると、少し心配になったのか渓太が、
「おとうさん、だいじょうぶ?」と聞いてきた。

動かすに息を殺してじっとしていると、近くにいた母親に、
「ママァーおとうさん、うごかないよぉー」
「死んじゃったのかなぁー」
「おとうさん!おとうさんっ!」
渓太の声がだんだんと涙声になってきた。

「ママァー…どうしよう…おとうさん、死んじゃった…」
泣くかな、と思ったが、めんどくさいのでそれでも死んだマネをしていると、それまで「おとうさん…おとうさん…死んじゃった…どうしよう…」と涙ぐんでいた渓太が急に元気な明るい声で、

「じゃぁー、もやしちゃおうかぁー?」
と言った。
それまでの泣き出しそうな声が一転して、楽しそうに可愛く母親にそう言っているのだ。
それを聞いて、死体のはずの僕まで思わず笑ってしまった。

まったく、どういう頭の構造をしているのか、いきなり、
「じゃあーもやしちゃおうか」はないだろー!

おい、燃やされちゃうのかよッ!




3.へぇー

最近渓太は「トリビアの泉」のまねをする。
まったくTVの影響というのは大きいらしく、あっという間に新しい言葉や言い回しを覚えてしまう。
それも、親が覚えてほしくないような悪い言葉や乱暴な口調にかぎって、わざとやっているかのようにあっという間に覚えるるようなのだ。

これはまだいいほうだけど、手のひらでボタンを押すまねをして「へぇー」「へぇー」というのだ。
ケイタの質問(最近、何でー何でーが多い)に対して真面目に答えていると、「へぇー」「へぇー」と相づちをうってくる。力のない声で「へぇー」といわれると、思わず「聞いてんのかいッ!」と突っ込みたいくらいだ。

この前は近所のお友達のお母さんに向かってこれをやっていたらしい。
そのお母さんが何か渓太に話しかけると、そのたびに
力が抜けたような声で、この「へぇー」「へぇー」をやっていた。

その小ばかにしたような相づちはやめろー!と言っても

「へぇー」と返事をする。
まるでからかわれているかのようだ。ケイタのことだから、きっと確信をもって大人をからかっているに違いない。
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by tonjies | 2003-09-13 02:31 | 豚児1号 ケイタ
大きな声とささやき声  
大きな声とささやき声 


「大きな声出してもいい?」と渓太がいう。

前にも書いたけれど渓太は父親に似て声がデカイ。
父親は声だけじゃなくて顔も態度もデカイという話は今回もおいとくが、渓太はその大きな声で車の爆音を口真似することが好きだ。

ぶぅううーん!

耳元でこれをやられると、マジでうるさい。
不思議なのは、雑誌で車の写真を見ると必ず手でつかむ真似をして、力いっぱいの大きな声でこの爆音を叫ぶのだ。
どういうつもりなのか聞いてみると、
「カッコいい車だから…」
というわけのわからない答えが返ってきた。たぶん、大好きな車を自分の中に取り込む方法のひとつなのだろう。
ただ困ったことに夜中だろうと街中だろうとこれをしたがるのだ。
だめだよと叱ると涙声になって
「だって、大きな声だしたいよぉー」という。

最近では、自分から「大きな声出してもいい?」と聞くようになった。車の中や家の中ではこの大声を出してもいいと言うことになっているが…。

このところ渓太を連れてよく図書館に行くようになった。図書館だから静かにするように言い聞かせると渓太は必要以上に小さなささやき声でしゃべっている。
ただ、何故静かにしなければいけないのか基本的なところが分かってないみたいで、そのささやくような声で、
「おとうさん、大きな声出してもいい?」などと聞くのだ。
車の絵本を一緒に見ていると、渓太は例の『ぶぅううーん』を叫びたくて仕方がないのだろう、もじもじしながら小声で「ぶーん」といっていた。

図書館を出て「もう大きな声をだしてもいいよ」というと、それまでに溜まったものを吐き出すかのように大声で、
「ぶぅううううーん、ぶぅううーん!」
と叫んで走り回っていた。
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by tonjies | 2003-09-05 02:30 | 豚児1号 ケイタ