ガク君
生まれて2ヶ月が過ぎて、ガクはだいぶ大きくなった。母乳とミルクの混合だけれどよく飲むので、まるまると太っている。生まれた頃は細い手足をしていたのに今では関節にゴムをはめているように太い。ハムみたいだ。
ケイタは出が悪い母乳を嫌ってよくかんしゃくをおこしていたけれど、ガクは粉ミルクよりも母乳の方が好きらしくいつも母親の胸にしがみついている。
二人目のガクが産まれる前、妊娠中にカミサンは
「渓太みたいに(産まれてくる子が)かわいいと思えるだろうか」
と心配していた。
自分の産んだ子が可愛いとどうしても思えないという母親は多い。また二人子どもがいると、片方だけを可愛がり、もう一方が好きになれないというのは親の心理としてありがちなことだ。
親が子どもに自己を投影していると自己愛の対象となる子どもとはうまくいっても、自己嫌悪の投影となる子どもが親から敬遠されてしまうのだ。
だけど、幸いなことにその心配は杞憂だったようだ。
同じ敷地内に義母(カミサンの実母)がいて、僕たちは恵まれた子育てをしている。これが誰も回りに知り合いがいないマンションの一室で僕たちだけで暮らしていたら、僕が仕事に出かけている間、カミサンと子どもだけの生活だったら…と考えるとこんなに余裕を持った子育てはできなかったかもしれない。
(だけど、みんなそうやっているのだろうけれど…)
カミサンにとっても恵まれ過ぎている環境だが、それは渓太やガクにとってもいいことだと僕は思うのだ。
「このムーニー(おむつ)の写真、ガクに似てない?」
「そうだろ、おれもCMに出てくる赤ん坊みたいだと思っていたんだ」
というような会話が我が家では親バカその1とその2の間で交わされている。
バカ親かもしれない。