口げんか
これは僕はいなかったので、カミさんから後で聞いた話ですが、
ケイタと2階で遊んでいたときのこと・・・
窓の下を近所の小学生(幼稚園生?)が通りかかった。窓から隣の駐車場を見ていたケイタがその子達に気がついて声をかけたらしい。
「お兄ちゃんたちィー、なにをしてるんですかぁー」
下にいる子供たちもケイタに気がついた。
「ばーかぁ、ばーかぁー」
2階の部屋の中にいるカミさんの姿は下の子供たちには見えないらしい。
そう言われるとケイタは、どこで覚えたのか、大きな声で珍しく言い返した。
「お前こそぉー、ばーか、ばーかぁー」
こんな言葉をどこで覚えたのだろう。言い返すわが子の姿を始めてみた。と後でカミさんが言っていた。
いつもは近所の公園で、ちょっと大きな子達に突き飛ばされても、おもちゃを奪われても、ただボーっとしているだけのことが多い子がはじめて悪口に言い返したのだ。
でも、当のケイタは悪口とか口げんかという概念はまだないらしく、
「お前こそぉー、ばーか、ばーかぁー」と言った相手にすぐに、
「お兄ちゃんたち、しゅごい(すごい)ですねぇー」
とか
「おにいちゃんたちぃー、そんないたずらばかりしてはいけませんでしゅよ。」
とか、トンチンカンな会話らしきものを一生懸命にしようとしている。
ただ、言葉を覚え始めたばかりだなんてことは、下にいる小学生や幼稚園児たちにはわからない。
相変わらず、
「お前のかあちゃん、そこにいんのかよぉー」
とか
「うんこたれー」
と罵声を浴びせてくる。
それに対しても、ケイタは楽しい会話をしているつもりなのか、
「うんこはしていましぇん。」
「うんこは、さっき、しました。」
と一つ一つ丁寧に返答していた。
顔を出すタイミングを逸して、2階の部屋に隠れていたカミさんは笑いをこらえるのがたいへんだった。と後で言っていた。