「ねぇ、ねぇー、おともだちィ~」
人見知りをしない子ども…
どういうわけか渓太は両親に似ず、あまり人見知りをしない。
僕などどうしても初対面の人と話をするときは緊張してしまうのだが、渓太はわりと平気みたいだ。
自分と同じぐらいの幼児だと、
「ねぇ、ねぇ、おともだちィ~、何やってるんでしゅかぁー」
などと自分から話しかけていく。
この前、母親に連れられて近所のデパートに出かけたときもそうだったらしい。
プレイルームの中で、少し大きな幼稚園児ぐらいの子どもたちが遊んでいると、いつものように、
「ねぇ、ねぇ、おともだちィ~」と言いながら仲間に入っていった。
小さなチビめと思われたのか、その子たちから少しも相手されないので、しかたなく渓太は一人で遊びはじめた。
みそっかすにされても、一緒に遊んでいるような気になっているらしい。
そのうちに走り回っていた男の子が渓太にぶつかってしまった。
男の子もわざとではなくて、弾みでぶつかってしまったみたいなのに、渓太は泣きながら母親のところに戻って来て、相手と戦ってでもいたかのように言うのだ。
「負けちゃったぁああー」
だれも戦っていないっぞ…って…